2020年3月26日、杭州インターネット法院は、 Tik Tok(抖音)の運営会社を原告とする商標権侵害訴訟事件で、200万元の懲罰的損害賠償を命じる判決を下しました。
以下の点などが考慮されています。
①被告による侵害期間が長い(2018年12月17日から2020年3月13日まで)
②原告の「抖音」の知名度及びブランド価値が高い。
③「抖音」の文字商標は馳名商標である。
④被告一の資本金は1億元、会社規模が比較的大きい。
⑤被告らの悪意は明白。
※②については、原告の商標使用許諾料の実績で立証されているようです。
一般的には、懲罰的損害賠償は、権利者が受けた損失、被告が得られた利益又は知的財産権の使用許諾料の倍数に基づいて算定されますが、本件では、情状・悪意などから、直接懲罰的損害賠償を命じられています。
日本企業にとって、以下の示唆があると考えられます。
①悪質な侵害行為に対しては、懲罰的損害賠償を求めることが選択肢になる
②損失や利益などが不明な場合でも懲罰的損害賠償を求められる
③懲罰的損害賠償の金額が200万元にも達し得る
※③について著名なFILAの商標権侵害事例では800万元以上の懲罰的損害賠償が認められています。
弁護士法人キャストグローバル パートナー弁護士
キャストグローバル国際特許商標事務所 代表弁理士
上海致昇商務諮詢管理有限公司 総経理
弁護士・弁理士 島田敏史
中国の「調査」と「知財」「法務」を専門とする日本国弁護士。2011年に渡中後、知財案件に関して2,000件以上の案件に関与。自ら調査会社を経営し、調査・証拠収集・公証手続から摘発、審判・訴訟といった法的対応までワンストップで対応。中国でのクリアランス調査や先使用権確保、無効鑑定などの知財予防法務のほか中国事業活動・投資活動についても多数サポート。中国・ASEANの模倣品対策の実績多数。
中国企業調査 │ https://china-company-research.com/
中国商標出願 │ https://www.st-lawyer.biz/mamoru
知財法務顧問 │ https://www.st-lawyer.biz/ageru
Comments